このスレッドでは、インドで現在も行われている全国農村雇用保障(NREGA)についての紹介を行います。
NREGAはJGPの実践例の一つとして紹介されることがあります。
厳密には、JGPの枠組みとは違い、制約が多いですが、参考になるところも多くあります。
【NREGAの枠組み】
雇用の権利を法律に明記し、農村部の各家庭に年間少なくとも100日の有給労働を保証している。
NREGAでは、すべての希望者が公的雇用の機会を得られるようにするという法的義務を政府機関の側が負っている。そのため、NREGAのもとで単純労働に従事することを希望する者が、申請から15日以内に雇用機会を得られなかった場合には、州政府から失業手当(unemployment allowance)が支払われることになっており、その金額は最初の30日間は賃金の4分の1以上、それ以降は賃金の2分の1以上と定められている(第7条)。
また、NREGAによる雇用保証事業には、法律による裏付けが与えられているため、その内容を変更するには、連邦議会での法律改正の手続きが必要となる。この点でも、政府が一方的に事業を縮小したり、中止したりすることが可能であった既存の雇用プログラムとは大きく異なっている。
NREGA プログラムは、農村コミュニティに多くの生産的な公共資産(井戸、池、道路、公園)を創出し、水の保全、園芸、洪水防止、干ばつ防止、その他の環境プロジェクトなど、必要とされる公共サービスを提供していると評価されている。このプログラムは、貧困層の男女間の賃金格差を縮小し、民間部門の労働者の底辺賃金の引き上げに貢献している。
引用資料
・堀本武功・三輪博樹 編『モディ政権とこれからのインド』調査研究報告書 アジア経済研究所 2019
・【インド×MMT】『「現代貨幣理論」のレンズによる経済政策』(2020年10月14日、INVEST INDIA)|ゲーテちゃん
現行のMGNREGAの指摘されている問題点。
・雇用の創出に時間がかかる ・自治組織と政府との信用がなく双方が汚職の批判をするので制度運用がうまくいかない ・雇用プロジェクトを政府に申請してから数カ月を要することもある ・プログラム自体が汚職の温床になりがち ・監督する人が権力を乱用して賃金のピンハネがある ・すべての失業者を対象にする場合には雇用の創出が困難。
引用元
バナジー、デュフロ:『絶望を希望に変える経済学』